急須で入れたようななにか

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なにか新しいことを始めるとき、実践からしかできない人間です

2023年4月3日

6 分くらいで読めます!

この記事は誰かを否定したりする記事ではなくて、あくまで私の性質について述べた記事です。

なにか新しいこと、ここでは趣味とか学問とか全部を対象とします。

この過程において一般的に基礎からはじめて体系的に実践にたどり着くボトムアップな人間と、実践からはじめて体験的に基礎を身につけるトップダウンな人間がいるとよく言われます。私は後者です。

私はプログラミングで飯を食っていく人間です。

情報系の学科だからプログラミングができるというのは全くの事実無根です。大学ではコンピュータサイエンスを学ぶのであってプログラミングのやりかたを学ぶ訳ではありません。これは例えて言うなら、機械工学を専攻している人間に車の運転上手いんでしょ?って言ってみたり、数学科の人間に暗算させたりするようなレベルの誤謬です。

で、私がプログラミングができるようになった理由は実践したことです。私は中学生のときにプログラミングを知ったものの、if文がどうとか知って、……これで何ができるの?何も楽しくないんだけど……となって挫折した人間です。当時HTMLとかも書いてみましたが、何が楽しいのか全く分からず、やめちゃいました。

時は流れて大学生になって、たまたま手に取ったPythonという言語の解説本が、Janomeで自然言語処理をするとか、DjangoでWebサイトを作るとか、そういう極めて実践的な内容でした。これを読んで、俺がやりたかったのはこれだ!!!とプログラミングにハマってて行きました。理論とか文法とか、複雑な仕組みとか一切修めずに、分からないけど動かして、エラーと戦いながらそれを応用したりして知識を習得していく感じです。

だから普通に学部とかの授業でプログラミングできるようになっていく人を見ていると恐怖です。(自分にとっては)こんなにもおもしろくない基礎をなんで真面目にできるんだ???と。

学部のプログラミング授業は元々知っていた内容だったのでスラスラできましたが、応用課題には基本手を付けませんでした。
直接何かの役に立つ訳では無い応用課題に意味が見出せないんです……旗から見ると甘えにしか見えませんが……

実践というか、具体的で役に立つという明確な目的が見えないと動けないんです。

私はなんてわがままな人間だろうと思っていたのですが、実はそれは一種の方向性としてありだと言うことに最近気づきました。

某イラストレーター「練習が嫌い」

私が推してやまない、イラストレーターでもありVTuberでもあるしぐれうい先生が2022年10月の配信でおっしゃっていたことです。

「私ね。まじでね。練習が嫌いすぎてね。だからピアノもうまくなんなかったんですけれども……」
「だから練習って言う目的で絵はね、ほとんど描いてないんですよ」

「【お絵描き講座?】イラストを改造しても~っと可愛くさせる」 3672秒~

↓該当箇所

(しぐれうい先生は美大行かれてるちゃんと芸術を修めている方ですがね……!!)

うすゆき「わかる~~~~~」

まじで共感して椅子から転げ落ちました。私も練習が大嫌いなんです。

一線で活躍している方が、僭越ながら自分と少し似ている価値観を持っていて、ものすごく勇気づけられました。

このときに流れていたコメントで「天才肌やな」「才能がすごい…」といったコメントが多かったんです。わかるけど……いやいや!!違うんだよ!!実践からじゃないとできない人間も居るんだよ!!って、思いました。

「​好きこそものの上手なれ」「楽しんでやってるのいいな」というコメントもあって、もちろんそういった意見もわかります。でも違うんです。無理矢理にでも好きにするために実践をするんです。逆なんです。

「でもわかる」というコメントもあったのですが少なくて、もしかしたら実践からでないとできない派閥は少数派なのかなと思っていたのですが、他の絵師さんも似た内容を言及されていました。

某漫画家「落書きをしない」

漫画家の佃煮のりお(犬山たまき)先生と同人作家の伊東ライフ先生がお絵描きについて話しているコラボでのお言葉から引用します。

伊東ライフ「犬山たまきも伊東ライフも落書きをぜんぜんせえへんタイプだと思うんです」
犬山たまき「笑……しないね!」
犬山たまき「あ、でもこれさ、僕の仲良い友だちの作家さんも落書きしない人多いんだよね」

「【犬山たまき】#たまライフ が答えます!絵描きになるにはどうすりゃいいの!【伊東ライフ】」 1107秒~

↓該当箇所ですが、一部全年齢でない内容を含むため若干注意です。

伊東ライフ「ただの練習って、結構難しいんですよ、やっぱり」
犬山たまき「難しいし、心が折れがちな気がする……(中略)……なんかこれやってて意味あるのかしらううってなってくる」

同上 1192秒~

うすゆき「ほかにもいらっしゃるんだ……!」

ということで、実践しかできない絵描きの方の生の声を3人集めてきました。
もちろんこれは私の恣意的な抽出ですが、そういったタイプの人間もこの世にいると分かっていただけると助かります……

もちろんこれは絵師になるための道以外でも言われてて……

某作曲ラノベ「何がなんでもとにかく1曲作る」

作曲をやりたくて、作曲本を漁ってて出会った本に「作曲少女」というライトノベルがあります。

これは作曲をしているJKが作曲したいJKに作曲を教える話で、まずは音楽理論とかそういうのいいから、耳コピからしろ!って入る一風変わった本です。

「端的に言おう。作曲を身に付けるために必要なのは、理論書ではない。何にもわかってなくていいから『何がなんでもとにかく1曲作る』。これなんだ。」

「作曲少女~平凡な私が14日間で曲を作れるようになった話~」 Kindle位置: 188

うすゆき「共通点!」

プログラミングと作曲ってぜんぜん違う世界なのですが、プログラミングも「何が何でもとにかく1つ作る」という経験がめちゃくちゃ大事だと思っています。

いわゆるハンズオンという形式の勉強会とか、ハッカソンとか、そういう実践タイプの学習形態も存在します。

まずは最初に楽しいを脳に与えてて、報酬系を満足させてあげなきゃなんですよね!!

アカデミックな人間からするとけしからんと言われそうですが、そういった意味でも学問を実践的な事例を添えて楽しく紹介するゆる言語学ラジオはものすごく楽しめます。

某Podcaster「僕はトップダウン人間」

言語学について平易に楽しく解説するPodcaster&YouTuberのゆる言語学ラジオの雑談回で水野さんと堀本さんがおっしゃっていたことです。

水野「ここおもしれぇじゃん、まぁその面白いにいたるまでの理屈はまぁいっか……」
(中略)
水野「僕はトップダウン人間で(中略)、そういう人間って、学問に向いていなんですよ」
(中略)
堀本「偏微分方程式何に使うんだろうなと思って、何にもやる気起きない訳ですよ。」
(中略)
堀本「もっとも効率よく人を運べるエレベータの最適解があります」
(中略)
堀本「それ解くのに偏微分方程式必要なんですよ」
(中略)
堀本「っていう話を習った瞬間に……」
(中略)
水野「そういうトップダウンで、へぇと思ったことかき集めることしか能がない」

「ゆる言語学ラジオとは何であり、何ではないのか【雑談回】#215 」2312秒~

うすゆき「そうそう……!」

私も典型的なトップダウン人間なのでこの雑談回はとても共感して、なにか学問を積み立てるにしても、まず具体的で明確に積み立てる目的や動機がないとできないんだよねーーー!ってなりました。

小学校から大学に至るまで、基礎的な科目は苦手でした……特に数学と物理……

堀本さんがおっしゃっていましたが、私も学部の授業で「偏微分方程式はなんの意味があるんだよ!!」とさじを投げていました。
私は堀本さんよりも弱い人間で、おもしろい応用事例があるとちょっとやる気になる程度で、最後まで数学とは仲良くなれませんでした。
生活に役立つレベルの実践や目的を見いだせないとだめなんですよね…………
(もちろん基礎的な学問が生活に貢献していて、極めて重要であるのは百も承知ですが、それを具体的に実感できるレベルにならないとやる気が出ないということです)

逆になんで他の人間は練習問題とか能動的に解こうと体が動くんですか??……
単位や他の分野への応用として必要だから仕方なくやるけど……好奇心で自分からやろうとは天地がひっくり返っても思えないんです。

つまり?

私は学問に向いていないんです。小学校から大学までの期間はボトムアップが基本だったのでずっと辛かったのですが、社会人になってからはトップダウンでも生きていける気がするので、やっと開放される感じがします。

もちろん基礎から学んだほうが応用が効いて手数も少ないのは百も承知です。そんなこと頭では分かっています。でも私には嫌すぎてできないんです。だからこそ私はたくさん実践をして、コツコツと続けながら場数を増やしています。基礎から固めていない私は場数を増やすしか生き延びる道がないんです……そして場数もただ増やせばいい訳じゃなくて、色々と先は長いです。

私と同じく実践で基礎を補う方にとっては、少しでも励みになれば幸いです。
そして基礎から実践にたどり着ける方々には、私のような人間も居るんだよと暖かく見守っていただけますと幸いです。