急須で入れたようななにか

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ArchLinuxの日本語入力にazooKeyベースのHazkeyを入れてナウでヤングになろう

2025年12月7日

5 分くらいで読めます!

🎄
この記事は24th Dev Advent Calendar 2025の12/7の投稿です

こんにちは、IME驚き屋です。
日本語入力してますか?

私はHazkeyで快適な 自動変換 & 文脈推論変換 ライフを過ごしています。

(きーたでQiitaと変換できるのもすごい)

Hazkey

これまでLinuxはMozcで日本語入力してきました。Googleの安心日本語入力です。

しかし最近、Linux文字入力界隈にHazkeyという黒船がやってきました。
これはiOS/iPad OS向けのキーボードアプリazooKeyで使われているAzooKeyKanaKanjiConverterが採用されたLinux向けのIMEです。
2025年11月にはv0.2.0となり公式サイトも誕生しました。
ちなみにazooKeyは未踏事業のすごいやつです(小並感)

何が嬉しいか

Linuxデスクトップ界隈は不自由さと引き換えに効率自由を得ています。
Bluetoothイヤホンをつなぐのにも一苦労したり、パスキーが使えなかったり……

そんな世界にHazkeyはモダンな日本語入力を提供してくれます。
ライブ変換(入力中に自動変換される機能)やローカルLLMzenzを使った文脈による漢字変換など、普段の日本語入力作業を快適にしてくれる現代魔法が搭載されています。
しかもArch Linuxへの導入がパッケージマネージャ経由で完結し、めちゃくちゃ簡単です。

導入方法

Arch LinuxへはAURヘルパー経由でインストールできます。

Arch Linuxへのインストール | Hazkey
AURヘルパーを利用したインストールを推奨しています。

Swift依存のないバイナリパッケージがおすすめです。
Arch LinuxでZenzaiを有効化する」も行うことでローカルLLMを使った文脈変換もできるようになります。

Ubuntuにもインストールできます
Mac向けは本家のazooKey-Desktopがあり、Windows向けはazooKey-Windowsがあります。
SKKサーバ向けのものもあります。

できないこと

あまり無いので、できることより先にできないことを紹介します。

ユーザ辞書

v0.2.0時点Hazkeyではユーザ辞書機能が未実装です。まだv0.2.0ですので……
(iOS/Macなどで使えるazooKeyではユーザ辞書使えます)

私はこれまでユーザ辞書にいろいろ登録していたのですが、Hazkeyでは意外と辞書なくても耐えてます。
ライブ変換などの恩恵があまりにも大きいのです。

Google日本語入力にある変換便利機能

Google日本語入力では「今日」と入れると今日の日付を出すなどの便利機能がありますが、そういった変換機能はありません。
これも個人的にはあまり使っていないので耐えです。
(Hazkeyでもzhで→矢印を出すなどは可能です)

↓でもそれっぽい設定項目があるので今後できるかも……?

azooKey-Desktop(azooKey On MacOS)の機能は一部のみ

azooKey-DesktopではPC画面に表示されている内容ベースで逐次軽量なモデルを作って(代理チューニングされているらしい)その場にあった個人最適化が行われます。
他にも外部LLMによる「いい感じ変換」機能を使うことでIME内で翻訳機能やテキスト生成を行うことも可能です。

そういった機能はHazkey v0.2.0にはありません。
しかしながらLinuxでAzooKeyKanaKanjiConverterとZenzaiが使えるだけでも十分すぎるほど快適なIMEライフが送れます。

できること

ここからはHazkeyの魅力をお伝えしていきます。

ライブ変換

まずはなんといってもライブ変換です。

Macユーザならおなじみの、打ちながらスペースを打たずに自動変換されていく機能です。

慣れると、これでしか日本語を打てない体になります。
もう私には都度スペースを押す習慣がないんです……

優秀な変換機能・学習機能

「葬送のフリーレン」のような、最近の言葉もばっちり変換されます。

学習機能もばっちりです。

味噌汁エンジニア、みなさんよく打ちますよね。

ローカルLLMによる文脈変換

「漢字」と打ちたいのに「感じ」となってしまう。こういったイライラは有史以来悩みの種です。
Hazkeyのライブ変換でも「漢字」でなく「感じ」となってしまうことがあります。

(Zenzai 無効化状態)

しかしHazkeyではZenzai(ローカルで動くGPT2ベースのzenzを使ったニューラルかな漢字変換システム)を使うことでこの問題を解決できます。AI万歳。

ちなみにzenzはかな漢字変換特化のモデルという、新しいパラダイムのモデルらしいです。
私のノートPCにはどデカいGPUといった豪華なものはありませんが、モデル自体の量子化に加えて、投機的デコーディングで推論回数を減らすなどZenzai内部で高速化がされており、遅延なく利用できます。

HazkeyでZenzaiは必要なインストールを終えた後、設定から有効にできます。

Zenzaiを有効化すると、長い文章でも文脈に沿った変換が可能です。
例えば先ほどの「感じ」「漢字」の変換を挙げると、

(Zenzai 有効化状態)

と文脈に応じていい感じに変えてくれます。

Zenzaiはローカルで動いているのでセキュリティの問題もなく、かつPCへの負荷も軽いです。
より詳しい説明は、未踏のYouTubeに発表映像があるので、そちらをご覧ください。

ローカルLLMによる属性変換

例えば「新しくかいている」と打ちたいとき、設定で

ユーザプロファイル「小説家」で入れていた場合

「書いている」と変換されます。


ですがユーザプロファイルを

「イラストレータ」として設定しておくと

「描いている」と変換されます。
日本語には同音異義語がめちゃくちゃあるのでこれは非常に助かる機能です。

ちなみに私は普段はエンジニアに設定しています。(任意の文字列が設定できます)

が、そもそもあまりエンジニアらしい漢字というものはありませんね……

結び

Macのようなライブ変換がLinuxで簡単にできる未来は数年先だと思っていました。
またローカルLLMによる文脈推論変換に関してはもっと先の未来の話で、仮に使えたとしてもLinuxでは複雑怪奇な設定をこねくり回した上でスペックマシマシの巨大GPUが必要だと考えていました。

Hazkeyはその常識をすべてひっくり返して、パッケージマネージャ経由でサクッと入れてノートPCでも最新技術を使えるという最高の存在です。
(azooKey関連技術はMITラインセンスでコミットも歓迎とのことです。私に力があれば……)

それでは皆様、よきIMEライフを。