急須で入れたようななにか

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masterpiece ~俺たちはしぐれういになれない~

2024年10月2日

8 分くらいで読めます!

pixivプレミアム会員限定 しぐれうい5周年記念キャンペーンの限定5名現地チケットに当選した。
一度は落選した個人勢VTuberしぐれういの5周年記念ライブ、masterpieceの現地に行く機会を棚ぼた的に手に入れた。

会場はパシフィコ横浜 国立大ホール。

ぱっと見よくわからないが、とてもでかい。
収容人数5002人の巨大ホールにも関わらず、満員御礼で抽選当たらない人続出(当方もその一人で1次・2次抽選共に全滅)だった。
個人のイベントの域を超えている。

これは1階席からの様子であるが、この1枚からもデカさが分かる。

ちなみに、私は前回のリアルライブで現地参戦できずに悔やしんでいた、しぐれういリスナー(以後 ういリス)である。

バッチリYouTubeメンバーシップも入ってます

この記事はそんな1視聴者が現地に行って感じたことを綴った感想記事である。

※スクリーンショットOKのライブ映像をスクリーンショットしたものを掲載しています。

ユートピア

まず、座った席近くのういリスの姿について、プライバシーに配慮しつつ少し挙げる。

ひとことで言えば、ギャップ萌えだった。

スーツのサラリーマンが全力でペンライト振ったり、筋肉ガチガチの男性が全力でかわいいと言う状況は、あまりにもギャップ萌えである。

この空間は、普段隠していることや見せられない姿を表現できるユートピア的存在になっていたのではないかと感じた。

そして私の席は高校生席に近い3階の席だった。
ライブ終了後の帰りの通路で、感動を分かち合う高校生を見れたのが最高だった。

高校生が、はじめて推しVのリアルライブに来て、完成度の高いライブを見せつけられるのは、あまりにも英才教育すぎる。
日本の未来は明るい。

時間を忘れるほどの、なめらかな曲のつなぎ

ライブ本編では曲のつなぎ、演出が個人的にめちゃくちゃに刺さった。

会場の最大の盛り上がりはロリ神レクイエムだった。

その中でも今回は、2つの流れを厳選して取り上げる。

まずは曲順の個人的ベスト流れから。

rainy lady→太陽少女→Pris-Magic!

rainy ladyは前回のライブ時のCDに収録されたオリジナルソングである。

物販のペンライトが円形なこともあり、会場が雨に包まれていた。

しっとりした雰囲気。

そして傘が消え……

大空スバルのオリジナルソング「太陽少女」へなめらかに移行。

大空スバルはホロライブ所属のVTuberで、しぐれういがキャラクターデザインを手掛けている。

世界は雨から晴れに。

そしてひとしきり盛り上がったあとに……

前回のライブで最後に歌ったオリ曲Pris-Magic!

この歌は、しぐれういから大空スバルへの歌である。(ことが過去に言及されている)

前回のライブの解答編のような流れだった。


そして次に取り上げるのは、演出部分の個人的ベストである。

限りなく灰色へ→1000年生きてる→勝手に生きましょ

限りなく灰色へ」のカバー演出は空白の美学だった。

青色へ転換し、「1000年生きてる」が始まる。
あまりにも綺麗すぎる繋ぎである。

前の曲の額縁がそのまま1000年生きてるの額縁になって、座る。

さらに額縁はそのままに、「勝手に生きましょ」へ。
イントロで会場に響き渡る叫び声。

「勝手に生きましょ」は先日リリースされた、しぐれういのオリジナルソングである。
そして作曲は「1000年生きてる」と同じいよわさん。

この繋ぎにも鳥肌が立った。
あまりにも顧客が本当に必要だったものすぎる。

そして何だこの甘い表情は。新興宗教ができてしまう……

鏡合わせ演出。

綺麗すぎた。

俺たちはしぐれういになれない

終盤、会場でしぐれういが喋った言葉が印象に残る。
(この正確な引用のためにライブのアーカイブを追加で買うほどには)

なにかに熱中して、みんなが応援したくなるみたいな感じの、人じゃないの私は。
でもさ、なんかアニメキャラクターってさ、なんか俺たちが応援しなきゃ支えなきゃみたいな感じじゃないじゃん。
私は、みんなから応援してほしいっていうよりかは、みんなの生活の養分にしてほしいんだよね。私を。

(中略)

完璧で推し甲斐がないかもしれないんですけど
これからも生活のちょっとした楽しみ、なんだろうな、おひたしみたいな?ポジションに
お菓子みたいなポジションになりたいなと思ってるので、私のことはとっても楽しく!見ていただけると、私が一番嬉しいなと思ってます
私自身が楽しいこと好きだからさ。
みんなが何も言わなくても、勝手に楽しいことひとりでしてるからさ。
気が向いたら乗ってきてくれるとうれしいよ
盛り上がる会場

持論

持論であるが、個人Vの基本スタンスは、リスナーとライバーが持ちつ持たれつの関係で相互に成長していくものであると思っていた。
いわばプロセスエコノミー的なやりかたで、未完成な状態を完成に持っていく過程を見せて、それをリスナーが見て応援し、得た収益でライバーはもっと大きなことをやっていく、を繰り返す構造だと考えていた。

しぐれういは、完全にこの流れと異なる。

私は、みんなから応援してほしいっていうよりかは、みんなの生活の養分にしてほしいんだよね。私を。

ライブでのこの発言は、まさにそれを裏付けるようなものであった。

しぐれういはV界隈に産まれ墜ちた瞬間から輝き、そしていつまでも輝き続けている。
プロセスエコノミーとは完全に異なる。
(もちろん企業勢Vまで見渡せば、産まれ墜ちた瞬間から輝くVTuberも見受けられるが、箱の恩恵が無い個人Vでは構造上、誕生し得ないと思っていた。)

そんな世界に輝く、完璧で究極のVTuberしぐれうい。
私はしぐれういの源泉が

の2つであると考える。

ドッグフーディング

コンピュータ業界において、自社の製品を日常的に自分たちで使っていきながら改善する手法をドッグフーディングと呼ぶ。

しぐれういは生粋のVTuber好きであることが知られており、その他アニメやアイドル育成ゲームも好んで興じている。

俯瞰視

そしてしぐれういは、自分を俯瞰視してることが、今回のライブで公言された。

私がね、結構俯瞰視ができるから、できないことやってないだけなの。

今回、少なくともライブの締めの話題に入れるほど、しぐれういは「自身を俯瞰視している」ことが分かった。

ここからは個人の推測である。
俯瞰視できる人間が自身が好きなVTuberになった時、少なくとも一般の人間よりは高い精度で、何が求められていて何をすればリスナーが喜ぶのか分かるのではないだろうか。
これは最強のドッグフーディングであると思う。

結果、しぐれういはリスナーが喜ぶふるまいができる。
さらにこの状況すらも俯瞰することで、意図的に裏切って緩急をつけることすらもできてしまうのではないだろうか。
以前から配信を見ていてそう感じていたが、今回ライブで俯瞰視という単語を聞いて納得した。しぐれういは自分自身の使い方を分かっていると。

そう感じるくらいに、今回のライブは(少なくとも)ファンの1人が求めていたものを満たしすぎていた。

緊張しない、しぐれうい

ライブの成功にはしぐれういの努力が多分にあることが伺える。
そして本人はそれを苦でなく、楽しんでいる様子も伺える。

もちろん楽しんで努力できることは特筆すべきことだが、自身の趣向と合えばできる人は少なくない。
しかし、成果を披露する場で全く緊張しない人は、ほとんど見たことがない。(あくまで個人の経験上だが)

しぐれういは、いつかの配信で「私は緊張しない」ということを仰っていた。
これは控えめに言っても天賦の才ではないだろうか。

自分を俯瞰視して理想を体現できる人間にとって、最後の砦とも言えそうなのは緊張や不安といったネガティブな存在。

しぐれういはこの大きな砦がそもそも存在しないのではないだろうか。
努力と俯瞰視のプラス要素を、一切マイナスせずそのまま活かし、完璧で究極のVTuberとなっているのではないだろうか。


個人Vを見ることの楽しみは、自分が貢献していることを感じられること。
そして自分と推しているVTuberの両方が一緒に成長していけること。
そしていつかは、推しているVTuberみたいになれるんじゃないかと、どこかで夢を見る。

一方しぐれういは勝手に成長していく、いわば孤高の存在である。
さらに、しぐれういの天賦の才には再現性がない。

つまり結論、俺たちはしぐれういにはなれない

しぐれういがライブで伝えた

私は、みんなから応援してほしいっていうよりかは、みんなの生活の養分にしてほしいんだよね。私を。

はこれまでのプロセスエコノミー的な個人Vとは異なる、新しい概念の形なのかもしれない。


個人の妄想です。